コモディティー価格の上昇要因

コモディティー価格の上昇要因とは何か?

コモディティ価格の上昇要因として「新興国の実需増加+異常気象」で説明されることが多い。

 

しかし、実態以上にコモディティ価格を鋭角的に振り回す黒衣を演じているのが、投機マネーである。CFTC(米商品先物取引委員会)が発表しているヘッジファンドの先物ポジション推移を見ると、実需増や洪水、干ばつといった「表の正論」だけでは説明できない要因に気付く。つまり投機マネーの跳梁である。

 

具体的に、トウモロコシ先物とWTI原油先物のヘッジファンドーポジションの推移を見てみよう。@2007〜08年の第1次コモディティーバブルA08年9月のリーマンーブラザーズ破綻に伴う暴落B今回の第2次コモディティーバブル、を比較検討してみたい。トウモロコシはバイオエタノール原料としてのプレミアムがつくだけに、農産物の中でも中心的な位置付けである。

 

トウモロコシ先物はQE2後に再騰

 

@第1次コモディティーバブル

 

トウモロコシ先物はブッシュ政権のエタノール推進策もあり、06年のネットベースの売り越しから急速に買い建玉が増加し、07年2月27日には差し引き(以下同様)プラス39万5081枚まで積み上がった。これは1998年以降で最大の買いポジションである。08年2月26日にもプラス37万9263枚の買い越しと高水準を持続した。トウモロコシ先物価格は、06年1月安値I釘=203リ(2J3惣)から08年6月高値799惣で約4倍に急騰した。

 

Aリーマン破綻後

 

一気にポジション調整が進み、トウモロコシ先物は09年2月にプラス1080枚まで急減した。つまり、膨大な買いポジションが1年間でほとんど消失したことになる。先物価格は08年12月安値305ドルまで、約2〜6分の1に暴落した。

 

B今回

 

FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長による量的緩和策によって、一気にポジションは過熱を通り越して沸騰した。11年2月1日時点では、トウモロコシ先物のヘッジファンドーポジションはプラス49万8177枚の買い越しと、第1次コモディティーバブルの記録を大幅に破った。先物価格も、2月22日の高値744ドルを示現して約2〜4倍をマークした。特にFRBが昨年11年8月月3日にQE2(量的緩和第2弾)を決定以降、買い越しポジション、先物価格ともに、鋭角的に上方志向していることが明瞭である。

 

リーマンーブラザーズの破綻という金融・経済の大変動の一方で、1年間で人口急減・実需減少が急に起きたわけではない。にもかかわらず、半値・倍という強烈なボラティリティ(価格変動)が起きたことで、投機マネーの相場へのインパクトがいかに大きいかが理解できよう。つまり、今年6月末まで6000億ドルの国債を追加購入するというQE2で市場にあふれ出した過剰マネーが、穀物をはじめとする農産物相場に重大な影響を与えているわけだ。

原油もQE2でボックス相場突破

次に原油である。原油価格は、OPEC(石油輸出国機構)をはじめとする産油国の生産・供給体制、先進国・新興諸国の需要動而などの基本的な需給から、地政学的リスク、政治情勢、省エネ化のイノベーション、天候・温度に至るまで、あらゆるファクターが集約されて価格形成されている。しかし、穀物をはじめとする農産物と同様に、原油価格にもQE2の影響は大きく表れている。ヘッジファンドのWTI原油先物ポジションと価格の推移を見てみよう。

 

@第1次コモディティーバブル

 

BRICSの07年の実質GDP成長率(前年比)は中国が11.2%、インド9.7%、ブラジル6.7%、ロシア9.2%と急速な発展を見せていた。WTI先物のヘッジファンドーポジションは、07年7月31日にはプラス12万7491枚で、当時としては過去最高にまで積み上がった。その後、売買を繰り返しながらも、08年3月11日時点で1万5145枚と高水準の買い越しを持続。07年1月の安値=49.9ドルから、08年7月には高値147ドルまで空前の相場を現出した。

 

Aリーマン破綻後

 

ヘッジファンドーポジションは、08年11月にはマイナス5万2984ドルと一気に売り越しに転じた。この変わI身の早さこそがヘッジファンドの信条でもある。WTI先物も、08年12月安値32.4ドルまで4〜5分の1の暴落となった。世界的な景気後
退に伴う需要減が主因だがそれを増幅させたのが投機筋である。

 

B今回

 

世界的な景気回復・需要増を背景に、WTI原油先物のポジションは増加傾向をたどった。米マクロ景気が想定以上に回復し、中国、インド、ブラジル等が高成長路線に回帰するとともに、原油価格はリバウンド傾向を強めた。ヘッジファンドの先物ポジションも、10年1月19一日にプラス13万5669枚と07年のピークを更新した。

 

しかし一方で、米原油在庫は高水準を維持していたため、10年のWTI原油先物価格は70〜85ドル程度のボックス相場往来の動きに終結した。様相が一変したのは、QE2実施以降である。農産物が高騰し、ヘッジファンドのwTI原油先物ポジションも膨張を続けるに至った。昨年12月7日にはプラス17万6557枚と史上最高の買い越しになり、価格もボックス上限をブレークする動きとなった。

 

WTI原油先物価格が、米国景気との相関が高いのは言うまでもない。しかし、2011年1月以降の価格上昇、ヘッジファンドの買いポジション膨張は、やはりQE2の副作用と呼ぶことができよう。

新興国の成長にブレーキも

確かにQE2実施によって米製造業は活況となり、株高の資産効果もあって個人消費も回復傾向を強めた。一方で、農産物、原油をはじめとするコモディティ価格の急騰は凄まじいピッチで進んでいる。FRBが雇用環境の改善・失業率の低下という最大の課題に向かって突き進むならば、弊害たるコモディティ価格の一段の上昇は不可避と思われる。

 

しかもここにきて、北アフリカ、中東に民主化の荒波がきて、北アフリカ、中東に民主化の荒波が襲いかかっている。混乱がペルシャ湾岸の産油国にまで及べば、世界のヘッジファンドは、北海ブレンド、WTI原油に投入するポジションを一段と拡大させるものと思われる。既に2月22日時点で、WTI原油先物の買い残高は史上最高を更新している。

 

高成長国は昨年来、インドの7回を筆頭に、ブラジル4回、中国3回と連続的な利上げを実施している。この資源価格の高騰が、高成長国の中皿〈銀行に想定以上の引き締め策強化を採らせる可能性は高い。BRICSの成長鈍化となれば、日本経済への影響は大きく、原材料のコストアップによる企業業績への悪影響も懸念されることになろう。

 

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8-9日に欧州連合(EU)首脳会議を控え、結果を見極めたいとのムードが強まりそうだ。財政規律に関する条約改正や基金拡充の合意への期待感もあるが、一方で昨日の為替相場(FX)や株式の欧州市場ではドイツがユーロ圏救済基金の融資能力拡充案に反対したと伝わったこが嫌気された。日中に関連するニュースフローも出やすいと考えられ、報道に振らされやすい状況である。